免震不正、価値に影響? 民間物件の公表停滞

 KYBは不正やその疑いがある免震・制振装置が設置された物件名を順次公表するとしていたにもかかわらず、26日の追加公表は18件にとどまり、公表ペースが停滞している。装置は各地の施設に採用され、民間のマンションも含まれる。しかし、資産価値に大打撃を与える恐れがあり、住民が公表を受け入れるのは難しく、当面は公共施設が中心になりそうだ。

 KYBは19日、財務省本庁舎(東京都千代田区)など70件を初めて公表。26日は医療施設を含む18件を公表したが、庁舎が多数で、民間マンションは1件も含まれていなかった。

 KYBは、公共性が高く、所有者の把握も容易な国や自治体の同意取り付けを優先したと説明。一方で社内体制を強化して装置納入先の所有者らへの対応を急いでいるが、対象物件は983件と多く、説明に時間がかかっている。

 国土交通省は問題の装置が設置された建物について、震度7程度の大地震でも倒壊の危険はないとの判断を示している。

 ただ、改竄の有無や程度が不明なケースも多く、業界関係者は「装置を設置しているだけで、危険がなくても『傷物』と誤解されかねない。(民間の)分譲物件の住民が公表を受け入れるのは難しい」と指摘する。

 KYBには不動産会社や住民からの問い合わせが相次ぎ、不安や混乱が広がっている。KYBは建物施工主のゼネコンを通じ、情報提供を進めているが、ゼネコン関係者からは「KYBから情報が出てこない。次のステップになかなか進めない」と不満が噴出している。

 ある不動産会社では、建設中のマンションでKYB製の装置が設置されていることが判明したものの、不正製品かどうかの確認ができていない状況だという。関係者は「顧客に説明するだけの材料がそろっていない」と対応に苦慮する。