高論卓説

歴史上常に使われるフェイクニュース、対策は (2/2ページ)

 最近の例は、中国による米国のマスコミに対する工作である。この事実は昨年10月、米国のペンス副大統領の対中外交方針演説で指摘されている。中国は米国の新聞を使い、報道記事と思わせる広宣工作により、米国の世論を誘導しようとしているのである。中国による、これと同様のケースは日本の大新聞でも散見される。

 また、ここ数年急速に広まったSNSを利用したフェイクニュースも多発しており、偽動画を入れた「ディープフェイク」も、反政府運動などに利用されている。2010年に始まった「アラブの春」と呼ばれる中東諸国における連鎖的反政府革命では、時の政権を倒そうとする勢力により、SNSで実在しない偽キャラクターが大量に製造され、一般大衆を扇動したことは、インテリジェンスの世界では周知の事実である。

 昨年1月に起きたイランの反政府運動に対しイラン政府が実行した最初の措置は、国内のSNSの全面的遮断であった。SNSの偽キャラクターによる大衆扇動を政府が警戒したからである。ちなみに昨年フェイスブックは偽アカウントを21億件閉鎖したと発表している。

 このようにフェイクニュースは、一般の人が気が付かないうちに世論を誘導する強力な手段であり、特にSNSを使ったフェイクニュースは安価でもあり、今後各種勢力により多用されることは間違いない。

 対策としては、SNSを含めメディアが報道する内容をそのまま信じず、誰が何を目的として情報を発信しているかを常に考えることが第一歩であろう。

【プロフィル】杉山仁

 すぎやま・ひとし JPリサーチ&コンサルティング顧問。1972年一橋大卒、旧三菱銀行入行。米英勤務11年。海外M&Aと買収後経営に精通する。著書『日本一わかりやすい海外M&A入門』他、M&Aと買収後経営に関する論文執筆と講演多数。昨年3月に発表された経済産業省による『我が国企業の海外M&A研究会』報告書作成にも参加している。東京都出身。

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