「地震保険が高い」は誤解だし、自然災害は「国まかせですむ」のも思い込みだ (2/5ページ)

 「家の引き渡しの1週間後に東日本大震災に遭い、命は助かったものの家も家財もすべて失った方にお会いしたこともあります。家は流されて失ったのに巨額のローンは払い続けなければいけない。言葉を失いました」

 こうなると生活再建はゼロからではなくマイナスからのスタートだ。容易ではない。

 「国がどうにかしてくれる」という思い込み

 損害保険料率算出機構の行った「地震危険に関する消費意識調査」(平成26年)では、大きな地震で費用工面が必要になったとき、何に期待するかという質問には、約5割が国や自治体の支援と答えている。

 「多くの人がいざとなったら国がどうにかしてくれると思っています。しかし日本の場合、住宅の再建は自助、共助が基本。自分でどうにかしなくてはいけません。公的支援は被災者自身の努力で居住安定を確保しようという場合の後押し程度です」

 どんな公的支援があるのか。まずは被災者の救出、仮設住宅の設置、食料・飲料水、被服、寝具の供与といった当座の暮らしをつなぐための最低限の支援を定めているのが「災害救助法」である。

 「ひとことで言うと、身ひとつで逃げてきた人の命をつなぐための法律です。住宅の応急修理も含まれていて、約58万円までの必要最小限の工事が受けられます。ただし基本は現物給付なので、勝手に工事をして代金を請求することはできません」

 元の家に住むことが目的なので、この制度を利用すると基本的に仮設住宅などには入居できなくなる。また修理の範囲は屋根、壁、床などの住宅の基本部分や上下水道の配管や電気配線、トイレなど生活に不可欠な部分に限られる。

 支援金は最大でも「1世帯300万円」

 「次の生活再建のフェーズでは被害程度と再建方法により金額は変わりますが、支援金が支給されます」

「全壊または大規模半壊でなければ支給されません」