住居を失ったことに対する支援金について定められているのが「被災者生活再建支援法」。支援金を受け取るには自治体が交付する被害の程度を証明する「り災証明書」が必要となる。
「ただ、1世帯最大でも300万円で、全壊または大規模半壊でなければ支給されません。先ほどの話で言えば、引き渡し直後に家を失った場合、住宅ローンが何千万円も残っているわけですから、300万円は家を建て直すためというよりも当座の生活を立て直す資金にしかなりません」
被災して国や自治体から給付されるものは以上だ。義援金の支給もあるが、被害の程度に応じて配分を決めるため時間がかかる。被災世帯が多いと一世帯あたりの義援金は少なくなりがちだ。
東日本大震災から7年半あまりが過ぎたが、復興庁の発表によれば、岩手・宮城・福島の被災3県でプレハブの仮設住宅に暮らす被災者は5623人(18年8月末時点)。
2年半前の熊本地震の場合、仮設住宅へ身を寄せている被災者は2万8115人(18年7月末時点)。入居期限は原則2年。1年間の入居延長が認められるが、18年4~9月に入居期限を迎えた1万1732世帯のうち、約6割の世帯の延長が決まった。
最大の問題は、居住費の二重負担
命からがら生き延びたとしても、次にやってくる生活再建には高いハードルがある。住まいを確保する自己資金がなければ借りるしかない。
公的支援策として生活再建に必要な資金を貸し付ける災害援護資金制度(最大350万円)、「り災証明書」を交付されている人を対象とした住宅金融支援機構の災害復興住宅融資制度(例えば新築住宅購入の場合、基本融資2620万円に加え特別加算510万円)など通常よりも低金利の融資制度はあるものの、消失した家にローンが残っていれば二重ローンの問題は避けることはできない。