社会・その他

銀行のロゴはなぜ紙の地図から消えたのか 地図の平成30年、その舞台裏 (5/5ページ)

 竹内: 平成に入って、銀行名はコロコロ変わりました。A銀行とB銀行が合併すると、AB銀行になって、さらにC銀行と合併すると、ABC銀行になるといったケースがありました。そうすると、銀行名がどんどん長くなって、地図で表記することが難しくなったんですよね。

 「銀行名が長いから」という理由で勝手に短くするわけにはいかないので、先方の了承をいただかなければいけません。そうした作業を繰り返すうちに、社内から「銀行の地図記号でいいのではないか」「各銀行のロゴはいらないのでは」という声が出てきました。

 現在の行名はABC銀行なのに、1年前に発行した地図にはAB銀行と記している。それを見た利用者はどのように感じるのか。混乱するだけでなく、「この地図は古いなあ」と感じられるかもしれません。

 土肥: 編集作業は面倒だし、古いと思われたらブランド価値が下がる--。この2つの理由で、銀行のロゴ掲載は止めたわけですね。

 竹内: それだけではありません。私たちが生活していくうえで、銀行の重要度が下がっていったこともあるんですよね。以前に比べて、銀行の窓口に足を運ぶ機会は減っていませんか?

 土肥: 減っています。最後に行ったのは、いつか思い出せないくらい。

 竹内: その昔、引っ越し先を選ぶ際、「徒歩5分ほどのところに、銀行がある。便利そうだし、この物件にしよう」といった人もいたと思うんですよね。でも、いまは違います。コンビニで振り込みはできますし、スマホでも決済ができるようになりました。

 家の近くに銀行がなくても、それほど不便を感じなくなりました。ここで誤解していただきたくないのは、銀行の地位が下がったといった話をしているわけではありません。地図の話でいえば、銀行に行く人が少なくなった、目印に銀行を使う人が少なくなった--。このように、以前と比べて”地図上の地位”が低くなったので、各行のロゴを使わなくなったんですよね。

 紙の地図はどうなるのか

 土肥: 最後に、これはどうしても聞かなければいけません。平成の途中、スマートフォンが登場したことによって、紙の地図を利用する人は減りました。今後、紙の地図はどのように使われると思いますか?

 竹内: 付加価値の高い地図が使われるようになると思っています。Aというエリアが好きなので、そこの地図を手にする。ただ単に注文するのではなくて、拡大したり、加工したり、パネルにしたり。自宅だけでなく、職場や街角でも使われるようになるのかなあと。

 あと、話題のスポット、世の中のトレンド、世界情勢などに即した切り口の地図本は、手軽な読み物として残っていくはず。知育、脳トレ、認知症対策などにも地図を読むことは効果的とも言われているので、あえて紙の地図を読むことが求められていくのではないでしょうか。

 (終わり)

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