寄稿

パリ協定に提出する日本の長期戦略 (3/3ページ)

 ■WWFジャパン長期戦略提言

 WWFジャパンは、長期戦略案について独自の提言を作成しました。提言では、2050年に100%自然エネルギーで賄う「WWF脱炭素社会に向けた長期シナリオ2017」(図)をベースに以下の10項目を提言しています。

 (1)IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の1.5℃特別報告書を踏まえた長期目標の設定

 (2)「主力電源化」を体現する再エネ導入目標の強化

 (3)エネルギー効率改善目標の強化

 (4)国内石炭火力のフェーズアウト

 (5)海外石炭火力の公的支援の停止

 (6)原発の段階的廃止

 (7)温室効果ガスの国内削減と海外削減貢献分を分別した目標設定および2030年目標の強化

 (8)カーボン・プライシングの導入

 (9)技術偏重、先送りのためのイノベーションからの脱却

 (10)脱炭素ビジネスを促進するための金融環境整備

 政府の長期戦略案はG20前に確定されますが、今後定期的に見直しが行われます。同案でも言及されているように、温暖化対策は経済成長戦略です。すなわち、日本の産業や自治体の今後の方向性を決めるものです。これからの温暖化対策の道筋を描くことは、世界と日本の今後のあり方を考えることです。WWFジャパンを含め多くの団体や組織が長期戦略案への提言を出しています。これらも参考に、企業や自治体、団体が2050年に向けいかに貢献し持続可能な発展をしていくか、一緒に考えていきましょう!

 WWFジャパン「パリ協定の下での長期戦略に関する提言:脱炭素社会を真に達成するために」

 https://www.wwf.or.jp/activities/data/190424climate01.pdf

 パリ協定・長期戦略の政府案

 http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000186601

【プロフィル】小西雅子

 昭和女子大学特命教授。法政大博士(公共政策学)、ハーバード大修士。民放を経て、2005年から温暖化とエネルギー政策提言に従事。

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