卒園・入学式 子供のフォーマルウエア 着回し重視でカジュアル化

 
組曲のボレロを使ったスタイル。華やかなワンピースを合わせれば結婚式にも着られる

 卒園式や入学式など、新しい門出を彩る子供用のフォーマルウエア。大人のビジネスシーンを含め、ファッション全体がカジュアル化する中、子供のセレモニースタイルにもその波が広がっている。改まった席だけでなく、ちょっとした外出など、さまざまなシーンで着回せるデザインが人気を集めているという。(油原聡子)

 前倒し

 高島屋日本橋店(東京都中央区)の子供服売り場には、卒園・入学式向けのフォーマルウエアが並ぶ。

 「今年は例年より1カ月早く、12月から売れ行きが好調」と話すのは、同店子供服担当のシニアマネジャー、菊入秀二さんだ。昨年12月~今年1月の売り上げは、前年同期の1・2倍。菊入さんは購入時期が前倒しになっている理由について、「行事向けの商品なので、生産量が少ない。サイズや種類が豊富なうちに気に入ったデザインを選びたいという人が増えたのでは」とみる。

 男児用の定番といえば、スーツ用の生地で作られたジャケットとパンツのセット。だが、今年目を引くのは、ジャージーやニット素材を使ったカジュアルなジャケットだ。「服の形や色は落ち着いた印象ながら、素材でカジュアル感を出すのが今年らしい」と菊入さん。

 仏子供服ブランド「タルティーヌエショコラ」のジャージー素材のジャケットは「動きやすい」と好評だ。国産子供服ブランド「ベベ」のニットのジャケットにチェック柄のシャツを合わせたコーディネートは、カジュアルなのにきちんとした印象だ。

 お出かけにも

 ここ数年、女児用で重視されるのが着回し。セットアップよりもボレロやワンピース、スカートなどの単品販売が目立つ。

 アパレルメーカー「オンワード樫山」(中央区)のブランド「組曲」の女児用では、ボレロやカーディガンなどを合わせたフォーマルウエアを数多く提案している。同ブランド子供服の商品企画担当、小原啓太さんは「発表会やちょっとしたお出かけにも着ていけるスタイルが人気」と話す。ボレロは紺色を選べば結婚式などにも着られる。白やピンクなら、Tシャツやデニムなどの普段着と幅広く組み合わせることができる。

 カチューシャやコサージュといったファッション雑貨を使い、ハレの日を華やかに演出するのも人気という。

 定番色に回帰

 フォーマルウエアが多様化する背景には近年、卒園・入学式で服装の色などを指定しない幼稚園・保育園や小学校が増えてきていることがあるという。

 数年前までは女児の間で人気アイドルグループ「AKB48」風のスタイルが大流行、襟を縁取りしたジャケットに、明るい色のスカートを合わせたスタイルが主流となった。しかし、一昨年ごろからは紺やグレーなど定番色に回帰している。

 ■はかまのレンタル人気

 小学校の卒業式向けに最近注目を集めているのが、レンタルのはかまだ。貸衣装の「藍や」(福岡市中央区)が運営する「袴(はかま)レンタル・ジャパン」では、小学生向けのはかまを豊富に取りそろえている。費用は4泊5日で2万1600円。4、5年前から都市部を中心に人気が出てきたという。今年はすでに男児用が「キャンセル待ち」という人気ぶり。同社の加藤純社長は「正装としての着物に親しむ機会になれば」と話している。