「胎児超音波検査」3D、4Dで鮮明に 分析精度向上、異常発見も
妊婦健診で、胎児の顔や姿を生まれる前に立体的に確認できる、3Dや4D機能付きの胎児超音波検査が広がりつつある。赤ちゃんの表情を感じられると好評だが、胎児に異常などが見つかることもある。検査に対する知識が不十分なまま臨む妊婦も少なくないため、情報発信の重要性も指摘されている。(池田美緒)
「エコー外来」
3D機能付きの胎児超音波検査は3次元で立体的に赤ちゃんを映し出す。これに対し、4Dとは、3次元に時間軸を加えたもの。胎児の動く様子や心臓の動きなども撮影できる。
4D機能付きの胎児超音波検査機器を導入している堺市中区のベルランド総合病院周産期母子センター。平成23年に「エコー外来」を立ち上げ、最新機器での精密検査を公費負担の対象となる妊婦健診とは別に行っている。受診件数は23年に366件だったのが、年々増えて昨年は1800件。週2日の診療日には多くの妊婦が訪れる。
診察室では、イギリスのロンドンで胎児超音波を学んだ産婦人科部長の峯川亮子医師(45)が妊婦の腹部に機器を当て、手元のモニターを確認しながら胎児の心臓や脳の構造、胎盤の位置などを確認していく。
機器には画像を肌色に着色する機能があり、立ち会った家族もわが子をリアルに感じることができる。また、妊娠中期の胎動を感じ始めたばかりの初産婦にとっては、映像の中の胎児の動きと自分の感覚がつながる瞬間でもある。後期になれば胎児の顔立ちまで分かるようになり、楽しみにする妊婦も多い。
同院では、撮影した動画や画像を提供しており「生まれた子供が大きくなったら見せたい」と好評だ。
「異常」も判明
最新機器は画像が鮮明になっただけでなく、検査機能の精度も向上した。
胎児超音波検査は、妊娠初期では妊娠週数と胎児の染色体異常の確率など、中期では胎児の形態異常や母親の胎盤異常の有無、後期には心臓を中心とした形態異常の有無、羊水量などを確認する。
峯川医師は「以前は画像が不鮮明で先天的に唇の一部が裂けるなどする口唇口蓋裂の誤診もあった。今は心臓内部の構造まで確認できるほど分析精度も上がり、見分けられる病気の種類が増えた。病気があった場合、産後の治療計画が立てやすくなった」とメリットを説明する。
一方で「異常があった場合に結果を受け止める覚悟や正しい知識を持った妊婦さんは少ない」と指摘する。「先天性異常の中には命に関わらないものや治療可能なものもある。中絶するかどうかという厳しい選択を突然迫られることにならないよう、妊婦さんも心の準備をして臨んでほしい」と訴える。
体で感じて
胎児超音波検査の歴史に詳しく、「超音波診断と妊婦」などの著書がある兵庫医療大学看護学部の鈴井江三子教授(助産学)は「医療の現場でメリットとデメリットを含めた検査自体の説明が不足している。妊婦さんも病院任せで、命への捉え方が安易だ」と警鐘を鳴らす。
超音波検査装置は1970年代から病院を中心に普及し始め、90年には診療所を含め全国に広がった。妊婦健診への公費負担の拡充などが背景にあったという。
ただ、「超音波検査が胎児の脳に与える影響などについては不明な点も多い。欧米諸国では2~3回程度が一般的で、必要最小限にとどめるよう推奨されている」と鈴井教授。「胎児の体が無事に完成すれば、後は胎動などで十分確認できる。機械に頼らず体で感じることで、子供への愛着も育める。超音波検査が必要か、妊婦自身も情報を集めて考えて」と訴えている。
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