姿勢が悪いと…「腰を立てて座る」に注目 子供の集中力持続する効果も

 

 ■姿勢正すクッションも人気

 新年度を迎え、心機一転仕事や勉強に励もうと思っている人も多いだろう。でも、座るときの姿勢が悪ければ集中力がそがれ、腰痛や肩こりなど体調不良の原因にもなる。近年「腰を立てて座る」ことが注目され、椅子の上に置いて姿勢を矯正する機能性クッションも人気を集めている。(加納裕子)

 立腰教育

 腰骨を立てて座る「立腰(りつよう)」を最初に提唱したのは教育哲学者で元神戸大教授の故・森信三さん。お尻を突き出して腰を前に突き出し、下腹部に力を入れる座り方を推奨し、現在も「立腰教育」として全国の保育園や幼稚園、小学校などで取り入れられている。

 立腰教育の普及に携わった森さんの門下生、寺田一清さん(90)によると、立腰教育は「体のあり方が心に影響し、心のあり方が体にも影響する」とする思想「身心相即」に基づいている。寺田さんは「腰骨を立てることで集中力が持続し、結果として物事を結実させる力にも結びつくのです」と説明する。

 幼児教室を運営する登龍館(大阪市天王寺区)の国語力才能開発研究会では、全国の保育園や幼稚園などで立腰を指導。同会教務担当の児島明子さん(65)は「けじめをつけ、気持ちをしゃんとさせるために腰骨を立てますが、実際に子供たちの心にも波及していると感じます。大人になっても大切なことだと思います」と話す。

 腰痛の原因

 悪い姿勢で長時間座っていると、実際に体の不調を引き起こすことがある。「たった3センチで人生が変わる座り方」などの著書がある整体師、片平悦子さん(60)は「腰を曲げて座っていると骨盤がゆがみ、骨盤の内部にある臓器の働きが悪くなる。便秘や腰痛、肩こりなどの原因にもなります」という。

 片平さんが推奨するのは、腰骨の下にある骨盤を立てた座り方だ。「背中が曲がり、肛門や尾てい骨を座面に付けた座り方をする人が多いですが、座面に座骨だけが触れて肛門や尾てい骨は座面に触れないのが正しい座り方です」と片平さん。

 骨盤を安定させるために膝は男性なら肩幅程度、女性は握りこぶし1つ分ほど開き、膝の真下に足を置くようにする。床に座るときに最も骨盤が安定するのは正座だ。男性の場合はあぐらでもよいが、座布団を二つ折りにするなどしてお尻の位置を高くすると骨盤を起こしやすいという。

 椅子の上に

 オフィスや学校の椅子の上に置いて姿勢を正す機能性クッションも多数販売されている。東急ハンズ心斎橋店では実演販売も行われており、販売促進担当の森岩小織さん(43)は「ここ3年ほどで商品も増え、最近のトレンドといえます」と話す。

 かつての腰痛対策は柔らかい円座クッションが一般的だったが、最近は比較的固い素材が多い。それぞれ独自の研究に基づいた技術で、自然に腰が立ち、背筋が伸びた座り方になるように工夫されている。

 森岩さんは「腰は大事な部分なので、安いもので適当に済ませようとする人は少ないです」。売り場で何度も座ってみて慎重に選ぶ人が多いという。

 同店で一番の売れ筋商品である「スタイル」シリーズは平成26年4月に発売。カイロプラクターの手の動きを再現したという花びらのような形が特徴だ。現在は持ち運びのしやすいタイプやキャラクターもの、子供用など6種類があり、今年1月までに累計50万台を販売。製造元のMTG(名古屋市)は「オフィスで働く人だけでなく、家庭で使って家族全員のスタイルを良くしてほしい」としている。