デザフェスやワンフェスで生まれる次代の才能 個人クリエーターが作品アピール

 
黒地に銀のマーカーで文字を書き込んでいくJoshuaさんの作品

 個人やグループが生み出した、雑貨やアート、ファッション、キャラクターといった作品を持ち寄り、展示・販売する国内最大規模のイベント、デザインフェスタVol.43が5月に東京ビッグサイトで開かれ、1万人を超える出展者が参加した。このデザインフェスタから商業製品へと発展していくものがあり、プロの世界へと羽ばたく人もいて、次代のクリエーティブを担う場として、注目を集めている。主催者では夏に出展者を“生徒”に限ったイベントを開いて、より若い才能の発掘に努める考え。デザインフェスタ以外でも個人クリエーターが集まるイベントが開かれる予定で、これからの物や人を探している企業ものぞいてみる価値がありそうだ。

 黒い壁に向かってアーティストが何かを描いている。近寄ると、それは銀色の細かい文字で記されたさまざまな言葉。フィギュアスケート選手の名前やアニメーション映画の名セリフが、中央のマンダラにも似た模様から放射線状に伸びていく。

 Joshua(ジョシュア)とう名で活動するアーティストの作品で、天地創造の頃からの歴史を書き記していったものとのこと。外側に近づくにつれ、最近の出来事が増えていくのは、アーティスト自身の関心が言葉になっているからで、内容が偏らないよう「どんな言葉を書けば良いか教えてください」と来場者に呼びかけていた。

 個人クリエーターが自分の作品をアピールできて、販売も可能な場として人気のデザインフェスタ。5月14日と15日に開かれたVol.43も、1万人以上の出展者と6万人の来場者で賑わった。

 出展者の中には、コナミデジタルエンタテインメントで「ラブプラス」などを手がけ、今はユークスで新プロジェクトに挑んでいるゲームプロデューサーの内田明理さんの姿も。ネット上で展開しているプロジェクト「つんでれチャネル」から生まれたキャラクターのグッズを販売していた。

 キャラバンズ(東京都新宿区)という、主にゲーム向けのCG制作を手がけている企業も出展していて、独自に作った「クムム」というオリジナルキャラクターのグッズを見せていた。3Dプリンターでパーツを出力して組み立てたフィギュアもあって、歪みのないフォルムが、元となった3Dデータ制作の確かさを見せていた。

 フィギュアの価格は7000円だが実は赤字。持っている技術やデザイン力を、オリジナルのキャラクターの形にして世に訴えたいと制作して販売した。テレビでアニメーションが放送された「石膏ボーイズ」を企画したザリガニワークス(東京都渋谷区)のように、デザインフェスタの場で発想力や企画力をアピールして、企業として大きくなっていったところも少なくない。キャラバンズも後に続こうと懸命だ。

 オリジナルの雑貨も豊富。COSUMI GINNという出展者のブースに並んでいたのは、犬や猫といった動物の顔を羊毛フェルトで作ったバッジ。実際の犬や猫の写真を見ながら、違った色の糸を指して描いていくことで、生きているかのような表情を持った犬や猫が浮かび上がる。死んでしまった愛犬や愛猫の写真を持ち込み、作って欲しいと頼む人もいるとのこと。ビジネスへと広がりそうなアイデアだ。

 道草という名前のブースが出していたのは苔のテラリウム。苔をガラス瓶の中に入れ、種類を分けながら植えて、ガーデニングのような起伏を作り出していく。自然をぎゅっと凝縮した風景がそこにあった。2週間に1度くらい水をやれば2年は保つというから、モノグサな人でも枯らさないで楽しめる。

 鎧甲を身に着けた武士を描いたイラストレーションを展示していたのは小倉枕さん。遠目には版画のエッチングにも見えるが、細かい線の1本1本を丸ペンを使い、墨汁で描いた1点もの。自分の趣味や技術を作品という形にして、ネットではなく大勢の目の前で見てもらえる場として、デザインフェスタを活用していた。

 デザインフェスタでは一昨年、若い才能を世に送り出したいという意図から、学生を対象にした万国學生藝術展覧祭(學展)というイベントを立ち上げた。3回目となる今年は東京ビッグサイトで8月27日と28日に実施。春と秋の開催だった一般向けのデザインフェスタも、「真夏のデザインフェスタ」として學展と同時に開催して、夏休み中の人たちに楽しんでもらう。

 夏にはほかにも、個人クリエーターが自慢の作品を持ち寄り出展できるイベントとして、模型の祭典として知られるワンダーフェスティバル2016[夏]が、7月24日に幕張メッセで開かれる。漫画やアニメーションといった作品に登場するキャラクターを、個人が思い思いに造形したガレージキットと呼ばれるフィギュアが数多く並ぶ。

 出展者には、造形力を買われてフィギュアメーカーに原型師としてスカウトされる人もいる。オリジナルのフィギュアが持つ魅力が企業などから認められ、商品化につながるケースもある。造形のトレンドを間近に見られ、次代のクリエーターにも出会える場として見逃せないイベントだ。