パクチーに熱狂する人々 タイ料理が火付け役、パスタソースやカレーも登場
独特な風味のため少し前までは苦手な人も多かった香菜のパクチーが注目を集めている。タイ料理などエスニック食ブームがきっかけとなり、「パクチスト」と呼ばれる熱狂的ファンを狙ったパクチー料理の専門店もできている。さらにパクチーを使った調味料やインスタント食品も続々と登場。レシピ本やパクチーの家庭栽培キットも発売されるなど、家庭でエスニック料理の味を楽しむ「うちパク」需要も高まっている。(田村慶子)
人気のきっかけはタイにあり…
パクチー(英語名・コリアンダー)はセリ科の一年草で、中国パセリなどとも呼ばれ、タイ料理や中華料理、インド料理などでよく用いられる。葉はハーブや葉菜として、果実はスパイスとして使われ、煮込み料理などでは茎や根も使用されるという。
和食に使われることがないため日本ではなじみが薄かったが、近年のエスニック食ブームでにわかに注目を集めるようになった。平成19年には東京・世田谷に世界初のパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」がオープン、その後も首都圏を中心にパクチーを使う外食店が増えている。
関西では26年秋に初めての専門店「GoGoパクチー」(大阪市中央区)がオープンし、その人気に目をつけたホテルも冷めんやカクテルにパクチーを使ったメニューを展開。ハイアットリージェンシー大阪(大阪市住之江区)は今年、タイ料理のフェアが期間限定で開催し「トムヤムクンなどパクチーを生かした料理が女性客たちの人気を呼んだ」(広報担当者)。
日本でのパクチー人気に火をつけたのは、間違いなくタイ料理だろう。タイにはパクチーに加え、日本の魚醤やみそに似たナンプラー、タオチオなどの基礎調味料が豊富にあり、格安航空会社(LCC)の路線拡大などでタイを訪れて現地の料理を楽しむ日本人も増えてきた。ある大手旅行会社は「海外旅行先の中でもタイは食自体が旅の目的にもなっている」と指摘。こうした背景から、パクチーの注目度も増したのかもしれない。
「うちで手軽に」と、食品メーカーも新商品続々
最近では「パクチスト」と称し、パクチーファンを自任する人も多い。その中心は美容・健康意識の高い女性たちだ。パクチーにはβカロテンやビタミンB、C、Eといった栄養素が豊富なうえ、体内に蓄積された有害毒素を排出するデトックス効果があるともいわれているためだ。
「外食店にとどまらず内食需要も旺盛だ」と話すのはタマノイ酢広報担当の高嶋智子さん。パクチー料理のレシピ本や、雑貨店などでパクチーの家庭栽培キットも続々と登場している。「外食店でパクチーを楽しむ“外パク”に対し、家庭で楽しむ“うちパク”なる造語も広がっている」と説明する。
タマノイ酢は9月、家庭で手軽にタイ風のあんかけ料理が作れる調味料「ビラブドアジア」を全国のスーパーなどで発売する。売り上げを伸ばせばさらに新商品を投入し、エスニック調味料のシリーズ展開も図りたい考えだ。
今回の商品はトウガラシなど4種のスパイスにパクチーを加えた黒酢あんで、いためた野菜や肉にからめて簡単に調理できる。
パクチー好きの女性や、子供にも好まれやすいピンクのパッケージにしたという。高嶋さんは「日本で60年以上を経て老若男女が食べるようになったイタリアのパスタのように、一般家庭に浸透してほしい」と期待を込める。
一方、エスビー食品は生パクチーの出荷量が平成21年から5年間で約2・5倍に拡大。今年4~9月の上半期も前年同期比3割増の出荷量を見込む。今年はパクチーを使ったパスタソースやカレーなど7種の新商品を発売し、関連商品の拡販にも乗り出している。
また日清食品も8月、エスニックのインスタントスープ「スパイスキッチン」シリーズを、より本場の味に近づけるなどリニューアルして発売。全3種類にパクチーを使っており、「エスニック食ブームを取り込みたい」(広報担当者)と鼻息も荒い。
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