こんなに違う「業界別・受付嬢カラー」 広告代理店はお嬢様系、IT企業は制服がスゴイ?

 
橋本真里子さん(一番右)がGMOインターネットで受付嬢を勤めていたときの制服姿

 【元受付嬢CEOの視線】 11年もの長きに渡り受付嬢として働いてきた私は、これまでに様々な業界のお客様と接してきました。そうすると、ご訪問されたお客様をひと目見るだけで、「この方は外資系かな」とか、「おそらく広告系では」などと、お客様がどこの業界で働く方なのか、なんとなく見当がつくようになってきます。毎日大勢の接客をするため、お客様の雰囲気、振る舞い、着こなしなどから傾向を掴み、企業や業界ごとの“カラー”を感じ取ることができるようになるのです。(ディライテッドCEO 橋本真里子)

 それと同じように、実は受付嬢にも業界別のカラーがあります。今回は少し肩の力を抜いて読んでいただけるように、「業界別に見る、受付嬢のカラー」についてお話ししたいと思います。受付嬢に興味がある学生の皆さんは、ぜひ自分に合いそうな業界を探してみてください。

◆IT系受付嬢の制服はユニーク?

 まずは、ずっと私が身を置いてきたIT系企業の受付嬢について。

 IT系受付嬢を一言で表現すると、「自由度が高い」です。受付嬢のイメージの一つとして、「制服」を挙げられることがあると思います。ほとんどの企業は、受付嬢に制服を貸与しています。ということは、通勤は私服なんです。

 受付業界の中では、メーカーは勤務時間外でも受付嬢に求める身だしなみやビジネスマナーのレベルが高いと言われています。一方、IT系企業は働いている社員の服装が比較的カジュアルであるように、受付嬢の通勤服も自由度が高いのです。

 就業中に着用する制服も、他業界からすれば異彩を放っているかもしれません。スーツはスーツでも明るい配色だったり、さらにはスーツではない制服を用意する企業も少なくありません。私が最後に就業していたGMOインターネットの受付嬢は、夏はTシャツにショートパンツを着用して働いていました。それが制服だったのです。これはかなりユニークですよね。

 髪の明るさやネイルの制限も少ない方だと思います。全体的に「華やか」と言う表現がぴったりかもしれません。

 受付嬢は、最も多くお客様と接するポジションです。「印象に残る受付」は広報的役割も果たしますし、お客様に「また来たい。見に行ってみたい」と思っていただく受付作りは企業戦略の一つでもあるかもしれません。

◆広告系受付嬢は「もはやオーディション」の逸話も…

 では、一般的に華々しい業界イメージを持たれる広告代理店の受付嬢はどうでしょう。

 その通り、広告系受付嬢も華やかです。一口に華やかと言っても、IT系と広告系ではその種類が異なります。女性ならわかっていただけそうですが、女性ファッション誌に例えると次のようなイメージなのです。

■IT系受付嬢はG文字系 『GINGER』『GISELe』など、アラサー女性向けに「大人カジュアル」「きれいめクール」といった着こなしを提案する雑誌ジャンル

■広告系受付嬢は赤文字系 『CanCam』『ViVi』 『JJ』など、女子大生や若年OL向けに「モテファッション」「コンサバファッション」を提案する雑誌ジャンル

 おわかりいただけますでしょうか。IT系と比べると、広告系はお嬢様らしい印象の方が多いように思います。

 広告代理店はとにかく来客が多いです。多岐に渡るお客様にご対応するためにも、出迎えてくれる受付嬢の人数も多いと思います。次から次へと絶え間なく接客するためワンピースなど動きやすい制服を着ているのも特徴的ですね。

 昔、とある広告代理店が移転した際に、オープニングの受付嬢を募集したところ、30名の枠に1000名の応募があったといい、「面接」ではなく「オーディション」と言われたそうです(笑)。そして受付嬢たちにはメイクルームが用意されており、ヘアアイロンやヘアスプレー、あぶらとり紙などの化粧直しに必要なものが完備されていて、通常では考えられない待遇だったとか…。

◆ここまで!? きっちり決まりがあるメーカー系受付嬢

 最後にメーカー系受付嬢についてご紹介します。

 前出の業界とは打って変わって、メーカー系は厳格な社風の企業が多いです。モノづくりをするメーカーには、企業イメージとして正確性・安全性・画一性が求められるのです。

 まず通勤時に「デニム着用禁止」「スニーカー・サンダル禁止」「ジャケット必須」など、労働時間外の服装に決まりがある企業もあります。

 もちろん就業時は「お辞儀をした時に、髪が顔にかからない」「ネイルは薄いピンクかベージュ系のみ許可するが、ラメは禁止」「ヘアカラーはレベル◯まで」と細部まできっちりルールが敷かれています。メイクの仕方まで指導されることも…。制服はかっちりした地味なスーツをまとうため、お客様には堅実な印象を抱いてもらえます。

 ちなみに私が以前、短期間勤めていたメーカーは「エレベーターのボタンの前に男性が立っていたら女性が入れ替わる」「控え室以外でジャケットは脱いではいけない」「コートは会社入り口前で必ず脱ぐ」といったところまで指示がありました。このような価値観を持つ企業があることを知れたのはとても勉強になりました。IT系企業と比べると社員もお客様も年齢層が高かったため、年長者の価値観への配慮にもなりましたし、服飾規定による地味な見た目が、堅実さや安心感のアピールになるのだと多角的視点も得られました。しかし、最初は「今の時代にこういう考えの会社ってまだあるんだ…」と正直びっくりしたのを覚えています(笑)。

 一言に受付嬢と言っても、業界によって全く違った印象を与えていると思います。今回お話しした内容はあくまでも「一般的」な見解です。上記が当てはまらない企業も多々あると思います。

 次回、企業に往訪される際に、今回のお話を念頭に置いて訪問してみてください。そしてぜひあなたなりに分析してみてください。きっと面白い「受付嬢カラー」が発見できると思います。

【プロフィル】橋本真里子(はしもと・まりこ)

ディライテッド株式会社 代表取締役CEO
1981年11月生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。11年という企業受付の現場の経験を生かし、もっと幅広い受付の効率化を目指し、16年1月にディライテッドを設立。17年1月に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。

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