意外と知らない「受付嬢の就活事情」 選考基準に「顔採用」はある?

 
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【元受付嬢CEOの視線】

 2月といえば、最も転職活動が活発になる季節。新年度4月入社を目指し、ひそかに転職サイトで新天地をリサーチしている方も多いのではないでしょうか。転職を考えている人にとって、エントリーしようかどうか二の足を踏んでしまう「壁」があります。それは「未経験職種・業界への転身」です。未知の世界にいきなり飛び込むのは相当な勇気がいります。ネットの口コミから情報収集しようとしても、ニッチな職種や業界だと情報も転がっていません。

 受付嬢の転職事情も、同じように謎に包まれています。一般的な職種の採用とどう違うのか、私もよく聞かれます。今回は、そんな「受付嬢の採用」について、私の実体験を元にお話したいと思います。(ディライテッドCEO 橋本真里子)

◆受付嬢に「顔採用」はある?

 企業受付の雇用形態は、どの企業でも基本的には「派遣社員」「業務委託」です。企業が受付嬢を正社員雇用しない理由には、「経営が悪化した時に受付嬢の雇用を維持するのが難しい」「受付嬢ができなくなった場合に、別の職種を用意することが困難」などがあります。

 受付嬢を雇用する会社から必ず求められる条件は「即戦力」です。ですので、募集要項の条件の部分に「第二新卒歓迎」「経験者優遇」という項目が並んでいることが多いです。

 第二新卒が好まれるのは、すでにビジネスマナーが身についているため。経験者を優遇するのも、即戦力としての期待が高いからです。

 「それ以外に求められるスキルは?」と聞かれると、正直ありません(笑)。

 ただ、スキルとは違うかもしれませんが、ここだけの話、やはり「容姿」も選考基準のひとつでしょう。大学生の就活が本番化すると、必ずと言っていいほど「顔採用」について議論がされていますよね。「美男美女の学生が面接を通過しやすい」「不公平だ、もっと内面を重視せよ」と、学生からの不満も噴出します。

 企業の本音を言うと、営業職や接客業ならば清潔感など第一印象が重要なので、容姿から判断せざるを得ない場合もあります。

 受付嬢も印象が大切です。オフィスの入口にある受付は、いわば会社の「顔」です。会社の印象を決めるといっても過言ではないので、企業としても「イメージ」にあった人材を採用したいのだと思います。

◆面接官が見ているポイントは受付嬢ならでは?

 面接はいたって普通です。他業種と変わりはなく、経歴や前職での仕事内容について質問されます。

 ただ、面接官が見ているポイントは受付嬢ならではかもしれません。私も面接する側になったことがありますが、注目しているのは「受け答えの内容」ではなくて、実は「受け答えの仕方」でした。

 どういったスキルを持っているかもとても大切ですが、スキルは入社後いくらでも身につけられます。しかし、受け答えなど根本的な部分は入社後に変えることが難しいため、面接の時点で見極める必要があるのです。

 受け答えの仕方の中でも、最重要確認事項は「チームワークを大切にできるか」でした。受付嬢というのは一つのチームで仕事をしています。一人でも輪を乱してしまうと機能しません。ですので、今作られているチームとうまくやっていけるかという視点を持って面接に臨んでいました。

 このチームワークを大切にできるかは受付嬢として非常に重要なスキルです。余談ですが、受付嬢の募集条件には「経験者優遇」が目立つと話しましたが、私が受付嬢として働いた会社のほとんどは、「未経験者歓迎」で募集をかけていました。それには理由が二つあります。

 一つ目は、「受付嬢としてのスキルを持っている人が少ない」からです。受付嬢の人口は他業種に比べて少ないため、経験者のみの採用としてしまうと応募自体が減り、採用が円滑に進まないという事情があります。

 二つ目は、「弊社ならではの受付の文化を作りたいので、他社での経験がない方がすんなり受け入れてもらえる」という考えがあるからです。

 私が働いてきた受付は後者の理由で未経験者を多く採る傾向がありました。転職者に多く見られますが、前職の文化を新たな職場にも持ち込もうとして、チームワークが崩れてしまうことはよくあります。企業文化や方針を統一してチームワークを強固にすることを重視している受付現場では、未経験者はぜひとも採用したい人材でしょう。

◆面接の際の身だしなみは…

 最後に、面接に行く時の身だしなみについてお話します。一般的に面接は「スーツ」「メイクはナチュラルに」というのが常識かと思います。そんな中で受付嬢の面接は一風変わっているかもしれません。

 実際に私が経験したことなのですが、「橋本さん、明日の面接はばっちりメイクで! 華やかな印象でお願いします!」と派遣会社の担当者に言われたのです。これは初めての経験だったので、とても印象に残っています。

 実際にその企業の面接に行ってみて、納得しました。オフィスのエントランスに入るやいなや大変華やかな受付だったのです。派遣会社の担当者は、企業イメージに近づけるためにも「華やかな印象作りを」とアドバイスしてくれたのです。どんな企業でも独自のカラーを持っているので、そこを分析した「イメージ戦略」で面接に臨むのは必勝方法の一つかもしれません!

 受付嬢になるには…というテーマで書きましたが、一番大事なのは「ガッツ」です。受付嬢は体力勝負です。想像より圧倒的に体育会系です。経験者だろうが未経験者だろうが、容姿が端麗であっても、ガッツがなければ務まらない仕事なのです。

 でもきっとこれはどんなお仕事にも通じることかもしれませんね。

【プロフィル】橋本真里子(はしもと・まりこ)

ディライテッド株式会社 代表取締役CEO
1981年11月生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。11年という企業受付の現場の経験を生かし、もっと幅広い受付の効率化を目指し、16年1月にディライテッドを設立。17年1月に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。

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