他山の石
昨年の違法ダウンロード罰則化に際し、反対の論陣を張ったMIAU(インターネットユーザー協会)の小寺信良代表理事(49)は「罰則化の目的は、音楽をCDなどの記録媒体に入れて売る『行き詰まったビジネスモデル』の破綻を、法改正で食い止めようとすることだった。しかし、それは結局達成できなかった」と厳しく指摘する。
「音楽ビジネスは転換期にあり、他国では同じネット配信でも、1曲いくらの販売から定額聴き放題のサービスへと移行している。音楽への支出は固定費ではないし、ヒットチャート入りの曲は必ず聴かないと、という時代でもない。利便性を高めないと、ユーザーは離れていく」
小寺さんはさらに、「音楽業界には『まさか人々が音楽を聴かなくなるはずがない』という大メディア特有の認識のずれがあるのでは」とも話す。それは、テレビや新聞など「○○離れ」と表現される事態が起きている他のメディアにも通じる指摘だろう。音楽業界をめぐる現状は、他のコンテンツ産業にも貴重な他山の石となりそうだ。(磨)
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【用語解説】違法ダウンロード罰則化
著作権者に無断で音楽や映像をネットに投稿(アップロード)することは以前より違法だったが、平成22年1月に施行された改正著作権法で、違法と知りながらダウンロードすることも違法化。さらに24年の改正で、違法ダウンロード行為に「2年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはその両方)」の刑罰が適用されるようになった。