ローカリゼーションマップが強調するポイントの一つは、異文化市場に対する確信の持ち方だ。ローカライズされた限られた数のモノを通じ、「この市場はこんな感じではないか」という勘を確信に変えるアプローチを説いているが、実はこれは日本人により効果的だ。
例えばイタリア人に話す時には別の点にフォーカスする。
なぜならイタリア人はほっぽっておいても容易に確信して突っ走ろうとするから、あえて「確信のしかた」を説く必要がない。この違いを個人主義が強いからとも説明できるが、ぼくが一番感じるのは、自分の言葉をもっているかどうかだ。
イタリア人の方が自分の言葉をもっているケースが多い。一方、日本のビジネスパーソンは自分自身の言葉を隠すことを暗に要請されてきたためか、どこか他人の言葉を借りて考える癖がついている。
ぼくが『ほぼ日刊イトイ新聞』で感心するのは、糸井さんがさまざまな分野のさまざまな専門家と対談しながら、糸井さんのセリフが変に難しく引っ張られないことだ。この文化が「ほぼ日」という会社に染みついている。それがフツーの日本企業と明らかに対照的な点だ。
ただし、「対照的」を「差別化」ととるとミスリードする。差別化とは、その根のところで対抗馬と同じ言語で考える羽目に陥っており、「ほぼ日」はそもそも比較するという発想を避けている。
自分の言葉をもつ。これがしっかりと足元を固めるにいかに必要なことか、多くのビジネスパーソンが案外見逃している点かもしれない。
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ローカリゼーションマップの勉強会を11月30日に行います。タイトルは「安藤昌也さんのUX論 利他的な『私』」です。参加ご希望の方は以下をご覧のうえお申込みください。→ http://milano.metrocs.jp/archives/5957
ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih