連合の古賀伸明会長の話に耳を傾ける非正規労働者たち=14日、札幌市(米沢文撮影)【拡大】
賃金を底上げするベースアップ(ベア)や賃上げへの注目が集まる平成26年春闘だが、もう一つの焦点となるパートや派遣・契約社員ら「非正規労働者」の待遇改善にも、新たな動きが出始めている。今や労働者全体の4割近くを占める非正規労働者への待遇改善は、景気や国内経済に与える影響も少なくない。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」がめざすデフレ脱却には、非正規層の格差是正や個人所得の改善が不可欠だ。(米沢文、写真も)
「連合は、もっと鋭く経営側と対峙すべきではないか」
14日夕、連合が札幌市内で開いた非正規労働者の対話集会。地元の郵便局に勤務する男性は、壇上の古賀伸明会長らに待遇改善に向けた取り組みの強化を訴えた。冬の燃料費負担が大きい北海道では、燃料価格の高騰が生活を圧迫し、4月の消費税率引き上げで消費者負担はさらに膨らむ。
だが、非正規労働者の待遇はまだ厳しい。会場からは「20年以上働き、65歳で退職した先輩の退職金は月9万円。こんな生活がいつまで続くのか…」と悲痛な声が相次いだ。
連合は関東などでも同様の集会を開いている。古賀会長は「物価や負担だけが上がり、働く者の賃金が上がらなければ、社会の混乱は必至だ」と今春闘に向けた意気込みを強調する。
総務省の平成24年の調査では、非正規労働者の総数は2042万人と19年の前回調査から152万人増え、初めて2千万人を超えた。労働者全体に占める割合も38・2%と過去最高の水準にある。
非正規が増えた理由について、連合非正規労働センターの村上陽子総合局長は「バブル経済崩壊後、経営側が総人件費圧縮の手段にしてきたためだ」と指摘する。非正規の約2割、派遣の4割弱は望まない仕事に就いており、村上氏は“不本意非正規”だと訴える。
国税庁が昨秋発表した調査によると、24年の社員など正規労働者の平均年間給与は468万円だが、非正規労働者は同168万円にとどまっており、約2・8倍の差がある。
非正規雇用については、これまで労働組合も正社員である組合員を優先しがちで、組織化の遅れが指摘されてきた。ただ、昨年4月の改正労働契約法の施行などをきっかけに、待遇改善の事例も出始めている。
NTT西日本は26年度に、電話の受け付け業務などをする契約社員のうち、過去最多の390人を正社員として採用。また、松井証券はコールセンターなどに勤める派遣社員を含め、全社員約280人に臨時賞与を支給するなど、改善の兆しはある。
また、都道府県ごとに異なる最低賃金は昨年、全国加重平均額が749円から764円にアップするなど改善の動きも出ている。
景気回復局面で人材を必要とする企業は、まず“雇用の調整弁”になっている非正規社員を採用する。さらに景気の好循環を維持し、正社員化や賃上げにつなげられるか。今春闘での交渉には多くの期待がかかる。