【日本の針路 大塚耕平のスピークアウト】ベア争点の春闘 (1/5ページ)

2014.2.13 05:00

 ■「賃金制度」骨格理解を

 ◆定期昇給とは別物

 春闘本番を前に、久しぶりにベアという単語が飛び交っている。中高年には馴染みのあるベアだが、若い世代にはピンとこない。

 ベアを理解するには、人事と賃金の仕組みを知らなければならない。賃金の構成は企業によって様々だが、一般的には基本給がその骨格部分。

 ベアは「ベースアップ(Base Up)」の略。文字通り「基本給(ベース)」を「引き上げる(アップ)」の意味。和製英語であり、基本給という仕組みが普及していない欧米諸国には存在しない概念だ。

 新聞やニュースで時々ベアと定期昇給(定昇)を混同している報道があるが、ベアと定昇は別物である。

 人事・賃金制度は資格と年齢で構成されるのが一般的。ここでは仮称「事務2級」の「25歳」のAさんを想定する。

 「事務2級・25歳」のAさんの昨年度(2013年度)の基本給は20万円。この20万円が今年度(2014年度)20.5万円に上がったとすると、今年度のベアは上昇分の0.5万円を20万円で除した0.025。つまり2.5%となる。

 一方、昨年度(2013年度)の「事務2級・26歳」の基本給が20.2万円とすると、今年度のベアがなくてもAさんは「事務2級・26歳」になるので、昨年度比0.2万円の賃上げ。これを定昇と言う。

 今年度の「事務2級・26歳」の基本給が20.705万円に上がると、昨年度の20.2万円と20.705万円の差額は0.505万円。

 この0.505万円を20.2万円で除すると0.025。つまり、「事務2級・26歳」のベアも「事務2級・25歳」のベアと同じ2.5%になる。

 さて、今年度の労使交渉が合意に達し上記の内容で妥結したとする。Aさんの給料は20.705万円。昨年度(20万円)との差額は0.705万円。これが賃上額だ。

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