株・為替・債券等の市場(マーケット)用語に「ベア」「ブル」という表現がある。このベアはBear(熊)、ブルはBull(雄牛)を指す。
ベアは「弱気」。熊が前足を振り下ろす動作や背中を丸めて歩く姿から、相場が下落している弱気な状況を表す言葉として使われている。
一方、ブルは「強気」。雄牛が角を下から上へ突き上げる動作から相場の上昇をイメージし、強気な状況を表す。
今年の春闘。政府・日銀の経済政策を反映して当然ブルなベアを追求すべきだが、物価上昇率よりも低水準にとどまる可能性が高い。それでは実質賃下げであり、ベアなベア。今後の展開が注目される。
◆生産性動向、精査を
ベアには2つの制度的機能があることは上述のとおり。インフレと生産性向上への対応だ。
インフレ対策(および消費税対策)としてはブルなベアを追求しつつも、生産性向上の観点からは冷静な議論も必要だ。
なぜなら、過去1年間の経済状況が、異次元金融緩和、円安、輸出企業好調、株価上昇という循環から生み出されているということは、その間の生産性向上とは直接の因果関係が明らかではないからだ。
賃金には、生活給、能力給、業績給という3つの側面がある。インフレ対応という意味で生活給への配慮は必要である。また、現に企業業績が上がっているならば、業績給としての配分もあってしかるべきだ。
一方、能力給としての側面は、各企業でよく議論することが必要だろう。
生産性にも、資本生産性、労働生産性、全要素生産性という3つの側面がある。資本生産性は資本(機械、設備など)1単位の生産価値。労働生産性は労働力(単位時間当たりの投入労働)1単位の生産価値。
そして、全要素生産性は資本生産性と労働生産性で説明がつかない部分。IT化、意思疎通の改善、職場環境の改善など、技術革新やマネジメントの巧拙にも影響される。