生産性の動向、その内訳要因(3つの生産性)に関して、冷静かつ客観的な検討が必要である。
加えて、損益分岐点、労働分配率、物価上昇率の3つの相関関係にも留意が必要だ。
大雑把に整理すると、1980年代までは、恒常的なインフレ、生産性向上及び企業業績を反映して労働分配率が上昇。また、企業経営の非効率化もあって損益分岐点も上昇。
バブル崩壊後の1990年代以降、長引く不景気とデフレの下で、企業は社員をコスト要因と見なし、成果主義、能力主義に傾注。しかし、企業業績の低迷を主因に、それでも損益分岐点と労働分配率は上昇。
2000年代前半以降、企業努力が徐々に奏功。その一方、内部留保積み上げ、人件費削減が続き、損益分岐点と労働分配率が低下。そして、今日に至っている。
一方、足許の物価動向。消費者物価よりも企業物価の上昇率の方が早く、賃上げと企業業績好転のタイムラグには要注意。
上述の整理は、あくまで全産業ベースの大雑把な傾向。各企業が、自社のデータを労使双方で整理分析、共有することが必要である。
◇
◎文中の事例
2013年度 2014年度
事務2級(25歳) 20万0000円 20万5000円
事務2級(26歳) 20万2000円 20万7050円
◇
【プロフィル】大塚耕平
おおつか・こうへい 1959年生まれ、名古屋市出身。早稲田大学政経学部卒、同大学院博士課程修了(学術博士、専門はマクロ経済学)。日本銀行を経て2001年から参議院議員。内閣府副大臣、厚生労働副大臣を歴任。早稲田大学と中央大学大学院の客員教授。著書に「公共政策としてのマクロ経済政策」など。