多量の糖が尿に排出される糖尿病患者の場合、「SGLT2」の機能を薬で抑えることにより、余分な糖が再吸収されて血液中に入り込むことはなく、そのまま尿に排出される。このため、尿に含まれる糖の量は増えるものの血糖値は降下し、高血糖の状態が改善されることになる。
また、薬で血糖が減少したことにより、細胞に取り込まれる糖は少なくなり、結果的に体重が減る。この影響でインスリンの効き目が良くなり、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島β細胞の負担が減って、インスリンの分泌能が回復することが期待される。
副作用としては、尿糖が増えることから体内の細菌が繁殖するなどして起きる性器と尿路の感染症などに注意する必要があるという。
広がる治療の幅
治験に参加した日本糖尿病学会専門医の上田信行・上田内科クリニック院長は「糖尿病の治療薬は、これまで血糖を下げるインスリンを投与したり、その効き目を良くしたり、分泌能力を高めたりするタイプが多かった。今回の薬は、余剰な糖の尿への排出を促進する形なので、薬の作用がこれまでと全く異なり、治療の幅が広がったといえる」と説明する。