家庭にいて、待つだけの立場から、自立して生きていく女性たち。政治の分野に進出する人たちも。そんな先人たちの歩みが描かれている。とくに女性の参政権獲得に尽力した市川房枝さんの存在感。
夫の母が市川さんの友人で、とても爽やかな人柄を感じた。新宿に開いたばかりの店で、スーツをオーダーされた。姿勢のよい女性だという印象がいまでも思い出される。
子育て、教育、食べること…家庭のさまざまな話題が取り扱われているが、身の上相談に投書するほどの悩みを抱えた孤独。新聞はそんな女性の声を紹介する機会を与えてきた。私も一時期、回答者になった。悩みにも回答にも、時代と世相が反映されていると思う。
「こうして女性は強くなった」というタイトル。家庭を持ち、子供を産み育て、仕事をしてきた女性の一人として、「こうして鍛えられた」というのが実感だ。でも、100年を経てきたいま、女性が強くなりすぎたのでは、と感じることもある。
女の暮らしを語る興味深い一冊だ。(読売新聞生活部編/中央公論新社・本体1400円+税)
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【プロフィル】森英恵
もり・はなえ パリ・オートクチュール組合に属して活動を展開した唯一の東洋人デザイナー。彫刻の森美術館館長。