『GRANTAJAPANwith早稲田文学』の創刊イベントで、村田沙耶香さん(左端)、中島京子さん(左から4人目)ら作品を寄せた日本の作家が、海外の作家とともにトークを繰り広げた=8日、東京・六本木【拡大】
映像化も合わせて
早川書房は今年8月から米出版社「Bento Books」と共同で、日本のエンターテインメント小説を英訳し、リスクの少ない電子書籍とオンデマンド版で配信する。「他言語への翻訳に結びつきやすい英語版を充実させ、映像化も狙いたい」と早川書房の山口晶編集本部長。第1弾は『開かせていただき光栄です』(皆川博子著)など5点で、地域性を意識させないミステリーやファンタジーを中心に選んだ。
2日に都内で行われた〈日本の小説を世界の読者に届けるには?〉と題したトークショーでは「Bento Books」の担当者から、日本アニメのファン層が小説の読者層に移行しない-といった米での厳しい現状も報告された。一昨年、米エドガー賞最優秀長編賞候補に入った東野圭吾さん(56)の『容疑者Xの献身』を英訳したアレクサンダー・O・スミス副社長は「『日本のモノだから』という理由だけで小説を読む人は米には少ない。やはり『この作家が好き』という気持ちが一番」と話した。良質な翻訳を届けて固定ファンを増やす。地道な努力の先に、世界が見えてくる。