「特等席がある」と教えてくれたのは、東北地方が発祥といわれる青いパパイヤのサラダ「ソムタム」をビニール袋に詰めて売っていた青年だ。特等席=扉のない乗降口のステップは、視線が線路に近く、風が吹き込み、ときどき背の高い雑草でかすり傷を負うことをのぞけば、たしかに快適。ちなみにプロフィール欄で使用している写真は、ここで撮影した。2等席の乗車券を持っているのに、なぜこんなところに座っているのか。振動をダイレクトに感じていると、くすくす笑いがこみ上げてくる。
列車の遅れは、まもなく2時間を超えようとしていた。
■取材協力:タイ国政府観光庁
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。