高荷さんの作品で最もよく知られているのが、第二次世界大戦当時の戦車や航空機、軍艦などのプラモデル箱絵だ。プラモは昭和30年代後半から大ブームを迎え、その頃に少年雑誌の中心コンテンツが写実的なイラストを挿絵に使った絵物語から漫画に移行したこともあって、メーンの仕事も箱絵に移っていった。
「今でも高荷先生に箱絵を描いてもらうのは、一種のステータス。それで模型の売れ行きも違ってくる」と、展覧会を企画した同館の堀江あき子学芸員は話す。展示されている「ドイツ陸軍重戦車タイガーI型」(44年)は、この時代の代表作の一つ。ドラマチックな構図とともに正確な考証を重視し、ボルトの一本一本まで緻密に描かれた箱絵は、模型少年から絶大な支持を集めた。
ミリタリー系模型のブームが下火になった昭和50年代後半から手がけ始めたのが、アニメメカのイラスト。「戦闘メカ ザブングル」「超時空要塞マクロス」「機動戦士ガンダム」など、アニメ雑誌の口絵やプラモデル箱絵を中心に、数多くのイラストを発表した。「“戦車の高荷”にアニメメカを描かせたら面白いだろうという雑誌編集者の発想が当たった。夢の世界の存在が実物のような質感で描かれたのを見て、魅了されたファンも多かったのでは」(堀江学芸員)