管理組合の維持困難
空き家と聞くと、「朽ち果てた一軒家」のイメージが強いが、実はマンションも少なくない。総務省が2008年の前回調査を分析したところ、この時点の空き家総数757万戸のうち、6割にあたる462万戸がマンションなどの共同住宅だった。大半は賃貸だが、「放置された空き家」も72万戸近くに上る。
マンションの場合、空き家が増えると管理組合が維持できなくなる。管理体制が悪化すれば借り手も減る。この点、賃貸であっても「深刻な物件」に転じやすい。
所有者が遠方にいる「投資型」などは管理がおろそかにされがちで、未入居の増加に拍車をかけているとの指摘もある。賃貸も含め1棟の半数が入居していないマンションも珍しくなくなった。こうなると物件価値も低下し、スラム化の道を歩み始める。
マンションの解体は戸建て以上に大変だ。建物が頑丈で費用がかさむだけでなく、所有者の利害が複雑に絡むからだ。今後、大都市圏を中心に「スラム化した老朽マンション」が増大すれば、新たな社会問題として国民にも重くのしかかることになろう。