大手企業の春闘妥結状況【拡大】
ただ、15年春闘はそう簡単にはいきそうにない。連合内では「4月の消費税増税の影響も含め、過年度の物価上昇率を計算すれば、ベア要求の数値は3%を上回る」とする意見がある一方、「非正規従業員の待遇改善のために、企業はもっと原資を使うべきだ」との声もあり、一枚岩にはほど遠い。
年功型見直しセット
こうした状況の中、10月22日に開かれた政労使会議で安倍首相は、年功序列型の賃金を見直して全体の賃上げも実現するよう経済界に求めた。実現すれば、大企業で働く40代前後の中間所得層が最も影響を受けやすいとされる。ベアが前年を下回ったり、実施されなかったりした上に年功型の賃金分が減額になれば、実質的な賃下げとなる公算も大きいが、「全体の賃金格差の改善のため、中間所得層の賃金は引き下げられるかもしれない」(労組関係者)。
消費税の再増税について、古賀会長は「影響は神経質に議論していない」とし、「ベア2%」には考慮に入れていないとする。安倍首相は15年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げ時期を17年4月に先送りする方針を固めたが、首相の最終的な判断は労使交渉にさまざまな影響を及ぼしそうだ。