【江藤詩文の世界鉄道旅】ハルツ狭軌鉄道(1)石炭の熱風にあおられて…蒸気機関車の運転席でつくった黒いシミ (1/2ページ)

2014.11.16 18:00

2本の煙をたなびかせた出発直前のSL蒸気機関車

2本の煙をたなびかせた出発直前のSL蒸気機関車【拡大】

  • 運転士のフランク。これだけの装置に目配りしながら、窓の外を目視して汽車を走らせる
  • こちらは主に“ファイヤーマン”ティロのポジション
  • 石炭をくべるたびに轟音とともに熱風が吹き付けてきた

 容赦なく吹きつけるすごい熱気に、思わず顔をそむけた。ヨーロッパの晩秋。しかも山岳地帯。車外はしんしんと冷え込んでいるのに、ここはまるで別世界だ。頬が熱い。重たいコートを着ている私は、うっすら汗ばんできた。燃え尽きた石炭のミクロサイズの破片が、熱風にあおられて目に入った。ちくちくして涙まで出てくる。この道36年の運転士フランク・ハウプトフォーガー氏は、困った表情で眉をひそめた。

 ハルツ狭軌鉄道は、“ブロッケン現象”で知られるブロッケン山頂とふもとの街ヴェロニゲローデを結ぶSL鉄道だ。出発の準備を進める蒸気機関車が、重たくたれ込めた灰色の空にすうっと描いた白と黒の直線、2本のモノトーンの煙に見とれていると、運転席から声をかけてくれたのがフランクだった。

 運転席によじのぼろうと、油ですべりやすいステップに足をかけ、手すりにつかまるとフランクが手を貸してくれた。その手は36年の蓄積で、薄黒く染まっている。墨色が私の手にも移る。慌てて差し出してくれたタオルも、手をこすりつけたズボンもやっぱり黒い。フランクは、困った顔で「ソーリー」と小さく呟いた。

「女性が服を汚して、そのままとは」と運転士に呆れられ…

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。