【江藤詩文の世界鉄道旅】ハルツ狭軌鉄道(2)東西冷戦に翻弄されたSL鉄道…二度とこの鉄道を止めないために (2/2ページ)

2014.11.23 18:00

最高時速は30キロ。まるでグリム童話の挿し絵にような、霧に包まれたモミの森のなかの勾配を登る

最高時速は30キロ。まるでグリム童話の挿し絵にような、霧に包まれたモミの森のなかの勾配を登る【拡大】

  • いまは国立公園になっているブロッケン山頂。かつては東ドイツ側の軍事拠点として、秘密警察や旧ソ連の施設が置かれていた
  • 標高1142mのブロッケン山。ブロッケン駅は標高1125mで、ドイツの狭軌鉄道の駅のなかでもっとも高所に位置する

 分断の時代に、経済が成長してより効率化を求めた西側が蒸気機関車を廃止したのに対して、経済的に遅れていた東側はそれを保持していたことが、皮肉にも観光鉄道としての魅力を高めている、と、運転士のフランク。地元では、鉄道の復活を、それは待ち望んでいたそうだ。

 もう二度とこの鉄道を止めてはならない。だから運転士たちは乗客、とりわけ子どもへのサービスも忘れない。「子どもたちがSLファンになってくれれば、次の世代へ継承できますから」。その戦略は、どうやらうまくいっているようだ。「間違いありません。なぜなら私自身も、子どものころ蒸気機関車に憧れて以来、ずっとこの職業に就くことを夢みてきましたから」。若手ファイヤーマンのティロはそう言って、片目をつぶった。

■取材協力:ドイツ観光局レイルヨーロッパ

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。

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