ただ「『賃金の引き上げがイコール、ベースアップ』という単純なものではない」とも指摘。「年収ベースの引き上げととらえることで労使の工夫と選択の余地が広がる」とし、定期昇給実施や賞与・一時金への反映、手当の改定を含めることで「賃上げが検討可能な企業の数が広がる」との見方を示した。
一方、各労組に2%以上のベア要求を掲げるよう求めた連合の方針については、消費税増税分を除く物価上昇率が前年比1%未満で推移していることや、円安に伴う原材料価格の上昇などで多くの中小企業の経営が厳しいことを踏まえ、「納得性が高いとはいえない」と否定的な見解を示した。
経営労働政策委員会委員長の宮原耕治副会長は記者会見で、今春闘について「経済の好循環を促すため、ベア実施企業が増えることを期待している」と述べる一方、「春闘は労使のパートナーシップ対話になった」と春闘の進化を強調し「官製春闘」との批判をかわした。
その上で「業績の上がっている企業が『昨年よりも(賃上げを)もっと頑張ろう』となるよう期待している」と、昨年を上回る賃上げが実現する可能性に言及した。
◆「過大な要求」にクギ
ただ宮原副会長は、一律2%のベースアップの要求を掲げる連合に対しては「違和感はないが、過大な要求」とクギを刺す。労組関係者は「交渉が始まらないと経営側の本音はわからない」と気を引き締める。