■「時短」「柔軟性」で労使議論
60年目の歴史を数える春闘は、賃金だけでなく、働く者やその家族を取り巻くさまざまな課題についても協議のテーブルに乗せるようになった。なかでも、注目されているのは、厚生労働省が検討している働き方改革だ。政府の成長戦略にも掲げられている労働生産性の向上をめぐり、今春闘で労使の隔たりを埋める議論が加速しそうだ。
◆「残業代ゼロ」警戒
厚労省は16日、働いた時間ではなく、仕事の成果に対し賃金を払う新しい成果制度の骨子案を示した。「ホワイトカラーエグゼンプション」とも呼ばれている制度で、年収基準を1075万円以上に設定し、研究開発などの職種に対し労働時間規制を外す内容だ。厚労省は1月召集の通常国会に労働基準法改正案の提出を目指す。
新しい制度の導入を提案してきた経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「企業がグローバル競争に対応するためには、雇用・労働分野の岩盤規制への切り込みが欠かせない」と主張する。働き方の転換で、時差のある海外企業と対等な立場で競い合える勤務時間の柔軟化や弾力的な人材活用が可能になるというわけだ。
政府が新しい成果制度を検討する背景には、労働の効率性を示す労働生産性が、欧米諸国に比べて低いという事情がある。日本生産性本部によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国で比較した1人当たりの国内総生産(GDP)で、日本は34カ国中17位。加盟国平均をやや上回るが、米国の7割程度にすぎない。