これに対し、労働組合側は「残業代がなくなる『残業代ゼロ』制度で、過重労働を招く」と反対論が根強い。連合の新谷信幸・総合労働局長は「まず労働時間の抑制を優先的に論議すべきだ。(仕事の)弾力化の議論だけを急ぐことを決して許してはならない」と拙速な議論にクギを刺した。
過労死問題に取り組む水口洋介弁護士も「残業代制度は、働く者に対する長時間労働のご褒美ではなく、長時間労働をさせた使用者へのペナルティーで、長時間労働を抑制させるのが趣旨だ」と指摘する。
◆対立の溝埋める動き
こうした中、60年目を迎える春闘で、両者の対立の溝を埋めようという動きが出ている。
春闘の指針となる経団連の経営労働政策委員会(経労委)報告は「長時間労働を助長するとの懸念は、法律上、新たな労働時間制度の対象者に十分な健康確保措置を要件化し、労務管理を徹底することで払拭できる」と明記した。
さらに、フレックスタイム制の清算期間の延長や裁量労働制の対象者の拡大などと合わせることで、「働き方の多様化に対応した選択肢を増やし、仕事と家庭のバランスが取りやすくなる」との見解を示した。
金属労協の有野正治副議長(電機連合中央執行委員長)は「経労委報告の労働時間対策や働き方改革は、われわれよりも踏み込んだ見解かもしれない。交渉に入らないと本音は分からないが、労使のベクトルは相当合っている」と話す。(春闘取材班)