◆労組加盟わずか7%
一方、労使は、非正規労働者と正規労働者の格差是正という大きな課題にも直面している。
産業構造で「山」の頂点ともいえる位置にあり、春闘の流れを左右してきた自動車業界が、格差是正に向けて動き出した。自動車総連は、各企業に直接雇用されている非正規労働者の賃金改善を初めて要求基準に盛り込んだ。
名古屋国際会議場(名古屋市熱田区)で開かれた自動車総連の第82回中央委員会で、相原康伸会長は「同じ自動車産業で働く『人』に焦点を当て、非正規労働者を賃金引き上げの対象として、底上げに取り組む」と力を込めた。
背景には非正規労働者の増加がある。自動車産業の従業員102万人のうち非正規は19万8000人に上り、全体の19.4%を占めている。だが、労働組合に加盟している非正規労働者は約7%にすぎない。
厚生労働省によると、非正規労働者は、1993年から2003年までの間に増加し、現在まで緩やかに増えている。13年の平均で、役員を除く雇用者全体の36.7%が非正規労働者だ。
非正規労働者の待遇改善に取り組むUAゼンセンの逢見直人会長は「非正規労働者の賃金水準は低い。家計の補助として働いている場合は家計の足しになるが、自ら生計を立てなければならない労働者は、それでは暮らせないというケースもある」と賃金引き上げの意義を説明する。(春闘取材班)