住人不在のまま放置されている東京多摩地区の一戸建て住宅【拡大】
対症療法の対策法
税金の負担増を避けるには、どんなに古い住宅でも残しておいた方が有利だ。だが空き家は放置され続けると劣化する。風雨や積雪で屋根や外壁が倒壊したり、樹木や雑草がはびこったり、蠅やネズミの温床になって衛生状態が悪化したり。防災や景観といった意味からも近隣に悪影響を与えてしまう。
なんとかしなければと、昨年11月末の国会で「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が議員立法で可決された。防災や景観などに悪影響を及ぼす恐れのある空き家の増加を防ぐため、市町村の権限で家主に除却や修繕を命令できる法律で、今春から施行される。ただこの法律は「対症療法に過ぎない」(米山秀隆・富士通総研上席主任研究員)との見方が大勢。「空き家対策で全体的な絵を描いている省庁はない」(国土交通省住宅局)のが現状だ。