【最先端の鬱治療とは(4)】どこまで性格?どこから病気? 自己と向き合う30回の「TMS治療」 (1/4ページ)

2015.3.2 22:34

TMS治療機器のシートに座って電磁コイルを頭に当てる記者=東京都新宿区西新宿の新宿メンタルクリニック

TMS治療機器のシートに座って電磁コイルを頭に当てる記者=東京都新宿区西新宿の新宿メンタルクリニック【拡大】

  • 新宿メンタルクリニックにある63台のTMS治療機器はハブコンピューターでつながっている=東京都新宿区西新宿

 「痛みには慣れてきましたか?」。頭を固定するテープを剥がしながらトリーターと呼ばれる技師が尋ねてきた。「我慢はできるようになりました」と苦笑しながら答える。約40分間にわたり電磁コイルを頭に当てられながら大脳に磁気刺激を受け、15回目の鬱(うつ)治療を終えた。30回必要なTMS治療の折り返し点を迎えたのだ。

 軽い躁状態と鬱状態を繰り返す双極性II型障害(II型障害)と診断された記者は、神経細胞の集まりである左側の扁桃体に刺激を与えられ、沈んだ気持ちを上昇させる治療を受け続けている。小型の電動トンカチで叩かれているようで、当初は耐えられないと感じていた痛みにもだいぶ慣れてきた。

 新宿メンタルクリニック(東京都新宿区西新宿)にあるTMS治療機器63台はハブコンピューターでつながっており、番号を入力すればどの機器でもその患者の設定を呼び出すことができる。治療開始前にはトリーターと医師によるダブルチェックも。頭皮でいえば、美容室でシャンプーをする際にお願いする「かゆいところ」の少し手前。毎回同じところに寸分違わず同じ刺激を与えてくる。ずれてしまった場合には機器がサインを出し、トリーターが修正してくれる。

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