【あるあるビジネス処方箋】
今回は、直属の上司(今回は職場の課長や部長)の「権限」について考えてみたい。組織は、この「権限」をベースに成り立っている。上司もまた「権限」以上のことはできない。「俺は、〇〇〇ができる」などと豪語し、部下の前で自分を大きく見せようとする人間もいるが、実際には、それにふさわしい「権限」を持っていなければ、どうすることもできない。逆に、部下であるあなたが上司に何かを言ったところで、できないことはたくさんある。
1.人事異動
人事異動で他部署に異動することが決まった時、それが希望どおりなら、不愉快にはならないだろう。だが、全く想像もしていなかった部署への異動なら、怒りがこみ上げてくる人もいるかもしれない。そういう時は、まずは冷静になること。そして、どうしても納得が行かなければ、あなたの上司にそこまでの権限があるのか、考えてみよう。社員数が数百人以上の会社で、しかも、上司が部長や課長なら、部下を現在の部署から追い出すことができたとしても、異動先まで選ぶことはなかなかできないはずだ。このようなことができる「権限」を持つのは、大企業や中堅企業なら、本部長、執行役員、役員クラスになる。自分の直属上司にどこまで人事異動の権限があるのか、日頃から観察しておくことも大切だ。
2.人事評価
大企業や中堅企業の場合、人事評価は、通常、一次考課者として直属の上司が行なう。その後、二次考課者として例えば、本部長、執行役員、役員などが評価する。その上で、人事部などが最終的に調整する。あなたの評価が著しく低い場合、それは直属上司によるものである可能性が高い。一次考課者の評価を二次考課者が覆すということはあまりない。これは、取材をしていると人事担当者などからよく聞く話だ。相当、ひどい評価をつけた場合は、二次考課者は「なぜ、こんなに低いのか?」などと、一次考課者である直属の上司に確認することもある。