【著者は語る】ジャーナリスト・中島恵氏
■「爆買い」に隠された本音に迫る
今年2月の春節以降、中国人「爆買い」のニュースが大量に報道された。経済的に豊かになった中国人たちが来日して日本の商品を次々と買い求めていく姿に、多くの日本人は驚いたりため息をついたりしたものだ。
微博(中国版ツイッター)の調査によると、今春、彼らが買って帰った商品の第1位は医薬品、第2位は化粧品、第3位は温水洗浄便座だった。なぜ彼らはわざわざ日本で買って帰るのか? 日本では「爆買い」という表面に現れた“現象”ばかりが注目されるが、本書はこの背景に隠されている中国人の生活実態や本音に迫った本である。
私はこれまで日中両国に住む数百人に上る中国人にインタビューしてきたが、彼らの生の声を聞くにつけ、いつも「日本には中国の真実が伝わっていないのではないか」と考えさせられてきた。
たとえば日本人と中国人は生活面においては「同じ土俵」に立っていない、つまり生活レベルに大きな差がある、ということが理解されていないのではないか、ということだ。