直近、2014年の軍手の国内販売は約5400万ダースだ。ピーク時に比べて落ち込んでいるのは、アベノミクス前の円高時に軍手販売の得意先である日本メーカーの工場が雪崩を打って海外に出て行ってしまったからだ。
工場は一度外に出てしまうと、為替が円安になっても戻ってくることが難しい。日本のモノづくりの現場で働く人の手元を守り、高度経済成長を下支えしてきた軍手市場は国内産業空洞化の直撃を受けて縮小している。
それでも日本製軍手の客はまだいる。おたふく手袋には約半世紀前のシームレスの発売当時とほぼ同じ綿100%の軍手の発注が来て、毎月1000ダースほどの売り上げがある。
大阪府の南河内郡千早赤阪村などで製造されており「1ダース2000円前後で値段も高いのに、この手袋だけは安い中国製が出ても売り上げが変わらない」と曽根さん。指と指のつなぎ目や仕上げの美しさにこだわった上質な軍手は熱に強く蒸れにくい。作業時に火花を伴う鉄鋼所や溶接工場では必需品だ。だが、こうした国産軍手の担い手の多くはいま70代。後継者不足が悩みだ。