そこで、中小企業も受け入れやすい水準に設定。体力のある大手には自社のベアだけでなく、下請けに対する取引価格改善にも踏み切ってもらい、企業グループや業界全体の幅広い賃上げにつなげる狙いだ。
ただ、実現は容易ではない。経営側は「経済の好循環」に向けて賃上げを迫る政府に歩調を合わせる姿勢を見せるが、ベアは固定費の増加につながり、コスト競争力も低下させる。「一時金が中心」(自動車大手)との声は少なくない。
自動車大手などの企業収益は高水準にあるとはいえ、「円安効果がなければそれほど良いわけではない」(メーカー幹部)。国内消費は力強さを欠き、中国経済の減速や、米国で予定される利上げの影響など、世界経済の先行きは不透明さが残る。事実、トヨタは凍結していた部品メーカーに対する値下げ要請を今年度下期に再開した。下請けメーカーにも「一部の大手が値下げを求めなくても他の大手からは要請がくるので、賃上げを実施する余裕はない」との声が漏れる。