図表1:9割以上の企業が再雇用者を絞る必要性を感じている【拡大】
サントリーホールディングスや大和ハウス工業のように定年を65歳まで延長した企業もあるが、大半の企業は定年後、1年ごとに契約更新する再雇用方式。しかも給与は現役時代の半分というのが相場だ。それでも人手不足の建設業や製造業のように定年後も残って働いてほしいという業界もあるが、ほとんどいらないという業種もある。
ソフトウエア開発会社の人事部長は、「正直言って60歳を過ぎても使える社員は少ない。発想が古いうえに、技術の進歩が早いので追いつくのも大変。できれば60歳前に3年分の退職加算金を払って辞めてもらったほうが助かる」と本音を漏らす。使えない社員は60歳を前に退職勧奨される可能性も高く、再雇用されても冒頭のA氏のように自主退職に追い込まれるかもしれない。法律で65歳雇用が義務化されても決して安心はできないのだ。
では定年後も会社に残ってほしいのはどういう人なのか。元JCB執行役員で再雇用事情に詳しい感性労働研究所代表の宮竹直子氏は「特殊なスキルの持ち主よりも知識や経験の伝承ができる人」と語る。