しかし、そのスーツの定価は本当に5万9800円でしょうか。バーゲンの前に同じ商品がその値段で販売されていればよいのですが、ひょっとしたらバーゲン専用品で5万9800円の価値はないかもしれません。
なぜ値下げ表示に人は弱いのか。それは行動経済学でいう「アンカリング効果」によるものです。アンカー、すなわち船が錨をおろすように、人間は最初に示された数字に強い影響を受けます。
このケースでは5万9800円という定価がアンカーになり、「2万9900円なら約3万円も安い!」と思い込んで買ってしまうわけです。
赤線が引かれている定価が本当の定価より高い場合、販売価格が実際以上に安くなっているとの誤解を消費者に与えるために景品表示法に引っかかりますが、この手の値引き表示は後を絶ちません。
アンカリング効果を使ったワナを見抜くには、2つの方法があります。