筑摩書房は25日までに、朝日新聞24日付朝刊に掲載された記事「本の値引き 仁義なき攻防」について、「事実が曲解され、誤解を招く恐れが強くあり、看過できない」として、朝日新聞社に抗議したことを明らかにした。
記事は、ネット通販大手のアマゾンが、一部書籍について値引き販売を開始したことを伝えている。ただし本を定価で販売する「再販売価格維持制度」を守りたい出版社側の警戒感は根強く、値引き販売に「参加するのは1社のみ」という内容。唯一、筑摩書房が「フローベール全集」などを定価の2割引で販売すると報じた。
筑摩書房は同日、この記事についての反論を同社ホームページに掲載した。同社によると、12月から来年3月までの期間限定で創業75周年記念企画「読者謝恩価格本セール」を約100書店で実施中で、筑摩書房がアマゾン側の企画に「参加」したのではなく、「当社の読者謝恩価格本セールに『アマゾンジャパンも参加した』というのが事実」だという。
また、記事は「筑摩書房が率先して『脱再販』に加担しているような文脈として読める」が、「謝恩価格本セール」は、再販売価格維持制度に従った「時限再販」の一形態であり、過去(平成13、14、23年)にも実施してきたと説明している。
同社は「時限再販」は「再販を護持するための方策の一つ」と述べ、記事の意図するところとは「正反対の理念と意志のもとに展開」しているものだとして、朝日新聞側に「当社にきちんと取材をしたうえで、より正確な記事をなるべく早い段階で掲載する」ことを求めている。