■コーヒーに予防効果。ただし、感染確認が先
では、日常生活において、肝がんのリスクを下げるにはどうすればいいのか。実は、国立がん研究センター(当時は、研究を行なったのは厚生労働省研究班)の調査で、コーヒーを1日1~2杯飲んでいると、肝がん発症リスクが半分程度に低下するということが明らかになった。これは、コーヒーに含まれるポリフェノールの効果ともいわれている。しかし、以前、国立がん研究センターが発表した資料によると、C型、B型肝炎ウイルスに感染していない限り、コーヒーをいくら飲んでもほとんど予防策にはならないという。ただ、炎症を和らげる作用があることは、確認されているようだ。
C型、B型肝炎ウイルスに感染する機会は、他人の血液に触れるような状況が起きない限り、日常生活ではほとんど考えにくい。輸血や血液製剤などの感染も、通常であれば起こりえないことだ。国立がん研究センターは、思い当たることがなくとも、中高年の世代は昔、受けた医療行為によって感染していないとは言い切れないため、一度地域の保健所や医療機関で検査を受けるべきだと呼びかけている。
取材・文/石原亜香利