いまは週末の金曜(イスラム教では金曜日は礼拝日でお休み)と土曜、80名以上の予約が入った場合のみ、アンマン駅とアンマン郊外のアル・ジーザ駅の間の片道約30キロを、1時間45分ほどかけてディーゼル機関車が牽引する観光列車を走らせているだけだという。
そんな彼らがいま力を入れているのが、古い車両のリノベーションだ。「この日本製SL機関車は、日本で使われた後タイで利用されていたと聞いています。その後ヨルダンに運ばれて、郊外の砂漠に放置されていました。それを修復して再び走らせるのが、私たちの使命です」
現在保有する8台の蒸気機関車のうち3台が日本製。ほかにドイツ、ベルギー、アメリカのものも所有しているが“ニッポンシャリョウ”の機関車は群を抜いて足回りがよいという。「鉄道マンなら世界中誰でも“ニッポンシャリョウ”の列車を運転したいものです」ナーデルさんはそう言って胸を張った。
取材協力:JICAヨルダン事務所
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら