博物館の前には、豪華客車「サロンカー」が展示されている。アラブの居間をモチーフにしたエキゾチックなデザインとヨーロッパの洗練が融合した車両は、ステンドグラス風のドアまで美しい。この時代の鉄道旅は、さぞ優雅なものだったのだろう。
この客車はもう走らせることはできないそうだが、アラブ風の内装の客車を“ニッポンシャリョウ”の蒸気機関車につないで走らせることはできるそうだ。
錆びてボロボロだったあの車両は、今年3月ごろにはピカピカに生まれ変わっているはずだという。「インシャーラー。たぶん3月には。アイ・ホープ(そう望みます)」。採算の問題もあり、100人ほど集まれば日本のSL機関車を日本から遠く離れた中東の国ヨルダンで走らせられる。どなたか100人集めてみませんか。
■取材協力:JICAヨルダン事務所
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら