国立がん研究センター中央病院の相談支援センターで、ソーシャルワーカー(右)と打ち合わせをするハローワークの職員=東京都中央区【拡大】
がんに限らず、治療と仕事の両立には副作用や後遺症に関する情報を正確に把握することが重要だ。同社は必要に応じ、本人の了解を得て主治医に「建設現場の足場に上がれるか」などと確認することもある。
だが多くの企業では、専門的な治療内容などを主治医に質問するのをためらいがちで、主治医も患者の職場の状況が分からず助言をしにくいのが実情。今回の指針は企業と主治医の情報共有が円滑に進むよう具体的な文書のひな型も示した。
松下産業の松下和正社長は「主治医の説明内容を患者から口頭で聞くだけではあいまいで、どんな業務なら可能なのか、かえって判断が難しくなる場合もある」と指摘、こうした文書が広く活用されるよう期待する。
◆ハローワークと協力
国は12年に作成した第2期のがん対策推進基本計画に就労問題への対応を盛り込み、職場の理解促進や相談支援の充実を打ち出した。がん診療連携拠点病院がハローワークなどと協力し、就労に関する相談を受ける取り組みもその一つだ。
ただ、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長(42)は「行政による支援は始まったばかり。まだまだ課題は多い」と指摘する。いったん退職したがん患者が再び働こうとハローワークを訪れても、「治療してから来て」などといわれるケースも少なくないという。
今回の指針に関しては「『がんになっても働き続けられるように』というメッセージを発したことに意味がある。患者を取り巻く状況を変える一歩になれば」と話した。