“官製賃上げ”に息切れ感 政労使、思惑の違い浮き彫り (1/3ページ)

2016.3.17 06:37

記者会見する経団連の榊原定征会長=16日午後、東京・大手町の経団連会館

記者会見する経団連の榊原定征会長=16日午後、東京・大手町の経団連会館【拡大】

 16日に大手企業の集中回答日を迎えた2016年春闘。ベースアップ(ベア)などの賃上げで経済の好循環を促し、デフレ脱却を加速させることは政府、労働界、経済界の共通した目標だ。だが、大手企業が回答したベアの水準はおおむね昨年実績の半分程度。安倍晋三政権が賃上げを労使に呼び掛け、過去2年は大幅賃上げを達成した“官製春闘”に息切れ感が漂い、政労使それぞれの思惑の違いも浮き彫りになってきた。

 「2度あることは3度ある。過去2年の大幅賃上げの流れを進めてほしい」

 13日開催の自民党大会に出席した経団連の榊原定征会長を意識して安倍首相はこう呼び掛けた。首相は官民会議などの場も含め、榊原会長に3月だけで3度目も要請する異例の対応で賃上げを迫った。

 昨年末の官民会議で、榊原氏は「年収ベースでの賃上げを期待したい」と、政府の要請に応じた。しかし、実際の春闘交渉が始まると、経済の先行き不透明感から、恒常的なコスト増につながるベアに対し、経営側の慎重姿勢は強まっていった。

賃上げの消費押し上げ効果は一時金よりもベアの場合の方が大きいとされる

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