【江藤詩文の世界鉄道旅】和諧長城号(2)鉄道旅の楽しみは“買い食い”と“アツアツのお茶” (2/2ページ)

2016.3.20 18:00

「万里の長城」への拠点となる「八達嶺」駅に到着!

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  • 「八達嶺」駅舎。手前の売店では手袋やニット帽を販売していて、多くの乗客が先を争うように購入し、パッケージを破ってその場に捨て、すぐに使い始めていた。
  • 車内販売のワゴン。品揃えは豊富
  • お湯をくれる売店。電子レンジでつくるポップコーンもよく売れていた
  • 座れなかった乗客たち
  • 一等車は通路を挟んで2席ずつ配置。一等車も二等車も、座席の背面に折りたたみ式テーブルがついている

 寒いこともあり、圧倒的に売れていたのは種類豊富なカップ麺。なぜなら売店に行けば、お湯が無料でもらえるから。マイ水筒に茶葉を入れ、お湯を汲んでくる風景がいかにも中国らしい。水筒を持ち歩くのは、なかなかいいアイデアではないか。ひっきりなしに売店へ行き来する乗客で通路はごった返し、車内にはカップ麺特有の脂としょう油の混ざったような匂いが立ち込めた。せっかく確保した座席を手放して、食堂車をのぞいてみた。

 売店脇のスペースでは、座席にあぶれた乗客が立ち、スマホをいじったり車窓を眺めたり。外国人観光客の姿も見える。売店のおじさんと目が合うと、身ぶりで「水筒はないのか」と聞いてくれる。水筒はないけれど、ビールでも飲んじゃおうかな。窓の外は青空に粉雪。レンジで加熱していたポップコーンがぱちぱちと弾け、バターの溶けるいい香りが漂った。

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら

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