薬の使い方について話すかかりつけ薬剤師の篠原久仁子さん(左)と患者の菅野政司さん=2月、水戸市【拡大】
■「渡すだけ」薬局チェーンは減額
「ちゃんと吸い込めていますか」。2月、水戸市のギャラリーを訪れた薬剤師、篠原久仁子さん(53)は、経営者の菅野政司さん(67)に尋ねた。菅野さんは粉末を鼻から吸うタイプのアレルギー性鼻炎薬を使い始めたばかりだ。使い方を間違っていないか、体調に変化はないかを確認する。
菅野さんには鼻炎のほか、耳鳴りや高血圧の持病がある。これまでは医療機関ごとに別々の薬局にかかっていたが、約3年前から、職場に近い篠原さんの薬局に一本化した。「薬で分からないことがあれば気軽に聞ける」と信頼を寄せる。
こうした患者に身近な「かかりつけ薬剤師」に対し、4月から新たな報酬が支払われる。患者があらかじめ書面で薬剤師を指名し、処方箋を持ち込むごとに700円を加算。うち70~210円が患者の負担だ。
患者の支払いは多少増えるものの、メリットも期待できる。例えば複数の医療機関に通い、同じような薬が処方されても気付かないことが多いが、薬剤師にまとめて把握してもらえば無駄を防げる。健康の悩みなどを継続して相談できる相手がいるのも心強い。