たとえ官僚の道に進まなくても、民間企業における東大卒というプライオリティは行使すべしというのが、浅田さん、戸塚さんに共通した考えのようである。また、2人の次の話を聞いていると、東大卒の人間は組織にいてこそ自分の力を発揮でき、自ら率先して新しい境地を切り開くことを苦手にしていることがわかる。
「子どもの頃からテストの意図を理解して、すぐに正解を導き出せました。その能力は社会人になっても生きていて、組織が求めることが何かを瞬時に理解し、それに応える能力に長けています。そういった順応力をフルに生かすにはやはり組織にいるのがベストなのではないでしょうか」(浅田さん)
「東大で学んだことは理屈でしかなかった。しかし、理屈だけでは人は動かせません。だから、大勢の人を巻き込んで、新しいレールを敷く起業には向いていないのです。最初からレールの敷いてある企業で、東大の“プラチナチケット”を使い切るのがベストだと思っています」(戸塚さん)
意識変革促す官僚のパワーダウン
もっとも、浅田さんにしても、戸塚さんにしても、東大を卒業したのは30年近く前のこと。その後、バブルの崩壊があったり、経済や社会環境は激変している。そのことは浅田さんも認識していて、東大出身者の意識の変化について次のように話す。