
私の座席は3号車。大きな窓に映る新潟の美しい風景もこの路線の魅力のひとつ【拡大】
「越乃Shu*Kura」は、車窓のハイライトである「青海川」駅に10時44分から10時50分まで6分間停車する。日本海をバックに列車の外観を撮影するなら、このときしかない。それまで酔っぱらうわけにはいかないのだ。
というわけで景気づけにビールを注文することに。銘柄を聞いて小躍りした。缶ビールは日本の地ビール第一号として知られる「エチゴビール」のピルスナー、生ビールは新潟の食に合うように醸された新潟限定販売の「風味爽快ニシテ 新潟限定ビイル」だという。なんでもサッポロビールが1876年に「開拓使麦酒醸造所」を設立した当時、ドイツでの修業を終えて主任技師を務めた中川清兵衛は現長岡市(当時は与板町)の出身だったそうだ。個人的には「エチゴビール」の「ビアブロンド」がないのは残念だが、これは贅沢というものだろう。
酒の歴史に思いを馳せつつ、「青海川」駅到着と同時に向かいのホームへダッシュ。無事にカメラに収めた達成感と共に味わう一杯の旨さといったら、これぞ至福のひとときだ。
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら